頸椎・腰椎の手術後、歩行を続けることが難しかった70代男性
頸椎と腰椎の手術後、歩行を続けることが難しかった方に対し、手術後の状態を前提に、残されている身体機能と動作を確認しながら進めた症例です。
来店当初は3〜5分ほど歩くと休憩が必要でした。施術だけでなく、身体機能への働きかけ、運動、セルフコンディショニングを組み合わせながら経過を確認し、約4か月の週1回の来店、その後の隔週、月1回へと段階的に来店間隔を延ばしていきました。
来店時の状態
70代男性。頸椎の首下がり症に対する手術と、腰部脊柱管狭窄症に対する手術を受けた後にJIONへ来店されました。
来店当初は、身体が大きく前方へ傾いた状態で、前を向いて歩き続けることが難しく、ご本人によると3〜5分ほど歩くと休憩が必要な状態でした。
身体の状態と動作を確認すると、以下のような特徴がみられました。
- 骨盤後傾が強い
- 股関節外旋が強い
- 足裏感覚の低下
- 重心が後方へ偏る傾向
- 姿勢を維持するために、身体を固めるような強い筋緊張
JIONで直接変えられないこと
手術後の構造を前提に考えます
頸椎は手術後で固定されているため、JIONではその構造自体を変えることを目的としていません。また、手術を受けた部位や画像で確認される構造そのものを、施術によって元に戻すことはできません。
手術後の状態を前提に、残されている身体機能や、立つ・歩くといった動作の中で、変えられる可能性のある部分を確認しながら進めました。
JIONで考えた仮説
頸椎の固定された構造そのものではなく、現在も変化する可能性のある部分として、胸椎、腰椎、骨盤、股関節、足裏からの感覚、立位、歩行などを確認しました。
その中で、重心が後方へ偏る傾向がある中で姿勢を保とうとすることで、身体の外側の筋肉を使って強く固める働きが増えている可能性を、仮説の一つとして考えました。
また、足裏から得られる感覚の少なさも、立位や歩行時の身体の支え方に関係している可能性があると考えました。
これらのどれか一つを原因と決めるのではなく、身体の反応を確認しながら仮説を検証していきました。
JIONで行ったこと
施術
過緊張がみられる部位に対して、整体・鍼灸・あん摩マッサージ指圧を用い、身体を動かしやすい状態を目指しました。
身体機能と動作への働きかけ
デッドバグなどによる体幹の安定性への働きかけや、ヒップリフトによって股関節を伸ばす方向の動きを使いやすくする練習を行いました。
その後、立位や歩行で身体の状態を再確認しました。
セルフコンディショニング
足裏への感覚入力を増やす目的で、ストレッチボールや青竹踏みなども取り入れました。
一度ではなく、経過を確認しながら進めました
変化は一度に起きたものではありません。
週1回を約4か月
週1回の来店を約4か月継続し、その中で立位・歩行時の身体の姿勢や動きに、少しずつ変化がみられるようになりました。
歩行を続けられる時間も徐々に延びていきました。
その後、隔週へ
状態を確認しながら、週1回から隔週へ来店間隔を延ばしました。
隔週を約3か月継続し、状態を維持できる期間を確認しました。
現在は月1回
その後さらに来店間隔を延ばし、現在は月1回のメンテナンスで状態を確認しています。
現在の状態
歩行を続けられる時間の経過
来店当初:
3〜5分程度歩くと休憩が必要
現在:
日常生活では約30分継続して歩けるようになったとのこと
ご本人からは、地方への出張も以前ほど歩行を心配せず行えるようになったとのお話がありました。
一方で、頸椎手術後の固定された構造そのものが変化したわけではありません。
経過の中では、胸椎・腰椎を含む立位・歩行時の姿勢や、身体の支え方などに変化がみられました。
この症例から伝えたいこと
画像所見や手術歴がある場合でも、構造そのものを施術によって変えられるわけではありません。
一方で、身体の状態によっては、現在も変化する可能性のある身体機能や動作が残されている場合があります。
- 身体の支え方
- 足裏からの感覚
- 荷重制御
- 関節の動き
- 筋肉の使い方
- 立位
- 歩行
どの部分が変化する可能性があるかは、一人ひとりの身体の状態によって異なります。
JIONで大切にしている流れ
評価 → 仮説 → 働きかけ → 結果の確認・再評価 → 日常生活への定着
一つの原因に決めつけるのではなく、身体の反応を確認しながら、その時点で必要な方法を考えていきます。
※これは一人の方の経過です。身体の状態や手術内容、症状などによって経過は異なり、同様の変化を保証するものではありません。
