動作とは
動作とは、立つ・歩く・座る・しゃがむ・物を持つなど、目的や環境に合わせて身体を動かすことです。JIONでは、動作を呼吸・荷重制御と並ぶ、身体を見る3つの主軸の一つとして考えています。
JIONが考える動作
動作は、複数の身体機能が組み合わさって現れる結果であると同時に、身体機能が実際に使えているかを確認する場でもあります。
動作は、身体機能が組み合わさって現れます
身体は、筋力だけで動いているわけではありません。
足裏や関節などから身体の状態を感じ、床から受ける力を身体で受け止め、重心を移し、関節を動かし、必要な筋肉を必要なタイミングで使いながら動作を行っています。
呼吸や身体の支え方、力を抜くこと、動きをゆっくり受け止めることなども関係します。
つまり、歩く・しゃがむといった一つの動作の中にも、さまざまな身体機能が関わっています。
動作は「結果」であると同時に「確認する場」です
例えば、足裏の感覚や呼吸、身体の支え方へ働きかけたあとに、もう一度立ったり歩いたりすると、動き方が変化することがあります。
このときJIONでは、「その身体機能だけが良くなった」と考えて終わりにはしません。
実際の動作をもう一度確認し、立ちやすさ、体重の移しやすさ、歩きやすさ、痛みや力みなどがどう変化したかを見ます。
そのため動作は、身体機能が統合された結果を見る場であり、立てた仮説が実際の身体に当てはまるかを確認する場でもあります。
一つの「正しい動作」を目指すわけではありません
同じ「歩く」「しゃがむ」という動作でも、すべての人が同じ形で動く必要はありません。
身体のつくり、年齢、体力、これまでの経験、目的、扱う物の重さ、床の状態などによって、使いやすい動き方は変わります。
また、左右差があることや、身体の一部が大きく動くことだけで、その動作を悪いと判断するわけではありません。
JIONでは、その方が目的を達成できているか、特定の場所へ負担が集中していないか、必要に応じて動き方を変えられるかを確認します。
JION Point
良い動作とは、一つの正しい形を再現することではありません。目的や環境に応じて、身体を調整しながら動けることを大切にしています。
呼吸・荷重制御・動作は互いに影響します
JIONでは、呼吸・荷重制御・動作を身体を見る3つの主軸として整理しています。
この3つには、決まった一方向の順番があるわけではありません。
呼吸
呼吸や身体の支え方が変わることで、動作中の力みや身体の使い方が変化することがあります。
荷重制御
床から受けた力を身体で受け止め、調整し、重心を移しながら次の動作へつなげます。
動作
実際に動くことで、呼吸や荷重制御がどのように使われているかを確認できます。
反対に、実際に動くことで新しい感覚が入り、身体の支え方や呼吸、荷重制御が変化することもあります。
動作を見るときに確認する身体機能
JIONでは、動作の見た目だけではなく、その背景にある身体機能も確認します。
感覚
足裏や関節、視覚などから得た情報を、身体の位置や動く方向の調整に利用できているかを確認します。
重心
目的に応じて身体全体を移し、その位置から次の動作へ移れるかを確認します。
片脚支持
歩行などで片脚を中心に身体を支えたとき、全身がどのように調整されるかを確認します。
関節の動きと安定性
足首・膝・股関節・骨盤・体幹などが、動作に必要な範囲で動きながら身体を支えられているかを確認します。
筋力とタイミング
必要な力を出せるかだけでなく、必要なタイミングで使い、動作へつなげられているかを確認します。
力みと脱力
必要な場面では力を使い、必要がなくなれば力を抜いて次の動作へ移れるかを確認します。
身体をゆっくり受け止める力
座る、階段を下りる、着地するなどで、勢いを調整しながら身体を受け止められるかを確認します。
動き方の選択肢
一つの動き方だけに固定されず、目的や環境の変化に合わせて動きを調整できるかを確認します。
立つ・座る
立ち上がるときには、身体を前方へ移し、足で床からの力を受け止めながら、足首・膝・股関節などを使って身体を持ち上げます。
座るときには、身体を下ろす方向へ移動しながら、関節や筋肉を使って勢いを調整します。
JIONでは、立てる・座れるという結果だけではなく、どのように荷重を受け止め、身体を移し、動作を調整しているかを確認します。
歩く
歩行では、左右の足へ支持を移しながら、片脚を中心に身体を支える場面を繰り返します。
その中で身体を前方へ移し、次の足へ支持を切り替えていきます。
足だけでなく、骨盤、体幹、胸郭、腕、視線、呼吸なども歩行に関係します。
そのためJIONでは、歩き方の形だけを修正するのではなく、その背景にある荷重制御、片脚支持、感覚、関節、身体の支え方まで確認します。
しゃがむ・物を持つ
しゃがむ、床の物を取る、荷物を持つなどの動作では、足で床からの力を受け止めながら、足首・膝・股関節などを動かして身体の位置を変えます。
扱う物の重さや高さ、動作の速度によって、必要な身体の使い方も変わります。
背中を丸めない、膝を前へ出さないなど、一つの形だけをすべての場面へ当てはめるのではなく、その方の身体と目的に合わせて考えます。
動作と姿勢は同じものではありません
姿勢は、ある時点で身体がどのような位置にあり、どのように支えられているかを見る一つの視点です。
一方、動作では、身体の位置を連続的に変えながら目的を達成します。
静止した姿勢では分からなかった特徴が、歩く、しゃがむ、方向を変えるなどの動作によって見えてくることもあります。
見た目だけを修正しても、身体が変わるとは限りません
動作の見た目は、身体の状態を知る大切な情報です。
ただし、「膝をこの位置にする」「背筋を伸ばす」といった形だけを修正しても、身体の使いやすさが変わるとは限りません。
足裏で床を感じにくい、荷重した場所で身体を支えにくい、関節が動きにくい、身体を過剰に固めているなど、その背景に別の身体機能が関係している場合があります。
JIONでは、見えている動作だけでなく、なぜその動き方になっている可能性があるのかを身体機能から考えます。
動作へ働きかけた後も、もう一度確認します
身体の使い方を少し変えたり、呼吸・荷重制御・関節・感覚などへ働きかけたりした後は、同じ動作をもう一度行います。
その結果、痛み、安定感、動きやすさ、力み、動作の範囲などに変化があるかを確認します。
変化があれば、その仮説が現在の身体に関係している可能性を考えます。変化が乏しければ、別の可能性を検討します。
動作も、評価と再評価で考える
動作を確認する → 仮説を立てる → 必要な身体機能へ働きかける → もう一度動作を確認する
動作を「直す対象」として見るだけでなく、身体の変化を確かめるためにも利用します。
動作を整える目的は、日常生活で動けることです
動作をきれいに見せること自体が最終目的ではありません。
立つ、歩く、階段を使う、仕事をする、家事をする、旅行へ行く、趣味やスポーツを楽しむ。
その方に必要な活動の中で、身体を使えることが重要です。
JIONでは、セッションの中で変化した動作を日常生活へつなげ、次回来院時には実際の生活の中でどうだったかをもう一度確認します。
動作だけですべてを説明しません
動作はJIONが重視する身体機能の一つですが、動き方だけですべての痛みや不調を説明できるわけではありません。
関節の状態、筋力、感覚、呼吸、荷重制御、疲労、睡眠、仕事や生活環境、痛みに対する不安などが関係する場合もあります。
そのため、一つの動作パターンを原因と決めつけず、身体機能・動作・生活背景を合わせて考えます。
急に動けなくなった場合や強い症状がある場合
急に歩けなくなった、急激に筋力が低下した、強いしびれやめまいが生じた、外傷後に身体を動かせないなどの場合は、単なる動作の問題と決めつけず、医療機関での評価を優先してください。
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